組織運営チップス100[石井友二]

会計監査やコンサルティング、会計事務所の運営により、過去多くの企業経営を学び、また関与してきました。我々が開発したツールやフレームワークをご紹介していきます。起業を志す方や経営者の方々の多少の参考になれば嬉しく思います。

実務経験と理論のすり合わせ

クライアントの問題点解決のため、過去様々な業種の経営支援に関与してきました。多くはマネジメントの仕組みの見直し、いわゆる組織改革がテーマでした。
 
経験を元に整理すると、組織改革を進めようとするときに、検証すべきアイテムは次のものと整理できます。
 
  1. 戦略の適切性
  2. トップマネジメントのリーダーシップ
  3. 改革ストーリーの魅力度
  4. 組織構造における改革のツールの巧拙
  5. 組織の文化風土・体制
  6. 組織構成員の意識
  7. 組織構成員のスキル

これらを改革の「7つのアイテム」と言っています。

 

これらすべてを充足しなければ、組織改革を進捗させることは困難です。とりわけ適切な戦略がとられていなければ、組織は経営資源をうまく費やすことができません。本来行うべきことができないため、従業員のモチベーションが低下し、成果が挙りません。無駄なことを合理的に行おうとしても、結局は無駄になるという事実を知ることが必要です。なので、1がまず検証され、爾後、順序よく2以降を整備していかなければ組織改革はその場限りのものとなりやすいし、仮にうまくスタートしたとしても継続することが難しいと言われています。

 

多くの組織改革を継続して成長してきた組織が、上記要素への取り組みを行なっていることは間違いがありません。完全でなくても良い、あるべき形につくりあげられるよう常に努力していくことが求められています。

 
人に、こうなりたい、こうしたいという思いがあれば、必ずそうなると私は考えていますが、組織でも、例えば各部署のリーダーがそう考え行動すれば思い通りになると確信しています。
 
まずは中間管理職、すなわち各部署のリーダーが、上記の意識をもてるよう、組織として働きかけ続けることが有益です。
 
トップマネジメントは思いを伝え続け、課題解決のための経営方針を出し、目標管理制度等により個人レベルにまでミッションを落とし込み、中間管理職を育成するとともに、彼らがモチベーションを高められる環境づくりを行わなけらばなりません。
 
そこここにあるコンフリクト(衝突)を解消し、従業員全員の創造性を高める活動を恒常化することが有効です。
 
何かを具体的に進めるときには難しいこともたくさんありますが、どのような業種においても、人が働く場面においてはここで提示した7つのアイテムが重要になることは明らかです。
 
なお、これらを展開するときには、経営管理論や組織論、リーダーシップ論、行動科学論、心理学、管理会計といった知識が求められます。
 
我々が毎日企業にお伺いしていて気付くことは、組織運営に必要な上記の考え方を受け入れる素地があるのか、ないのかにより業績が大きく異なる傾向があることです。ロジックを受け入れていない組織がいかに多いことか。
 
現場で積み上げてきた実務遂行力はとても大切ですが、ときには理論やフレームワークも知り、それを実務にどのように活かすのかを考える人たちと、自分の狭い知識や経験だけでものごとを捉え、かたくなにその正当性を主張し続ける人たちが存在します。
 
経営学は広く組織を管理・運営するための手法を研究する学問で、長い間かかって実務界で構築されてきた社会科学です。経験と実験を繰り返し、結果を理論として一定の領域に収斂させたものであり、いわばこのようなときにはこうなる、こうすればこうなるという(大げさですが)摂理があります。
 
業務を熟知し、仕事それ自体に対する高いスキルを持っていることは不可欠ですが、実務を円滑に行うためには、現場で何が行われているのかについて知悉したうえで、そこに理論を重ね合わせなければなりません。
 
実務を知り業務フローをみて、どの考え方が使えるのか、当てはまるのか、といったことを常に考えておかなければならないのです。
 
それほど複雑なことではなくても、理論から情報を得て人はどうすれば組織において心地よくいられるのか、動けるのか、何をメルクマールにして組織は機能するのか、どのような情報を提供すれば変われるのかなどが理解できていれば十分だと思います。
 
さて、マッキンゼーに「7S」というフレームワークがあります。
  1. Strategy(戦略)
  2. Structure(組織構造)
  3. System(システム)
  4. Shared value (共通の価値観)
  5. Style(経営スタイル)
  6. Staff(人材)
  7. Skill(能力)

がそれらです。

 

ここでは詳しく説明しませんが、組織があるべき方向に進み続けるために7つのSに着目し問題解決をし続ける必要があると説明します。前3つがハードの3S、そして後者がソフトの4Sといい、ハードが適切でもソフトが整備されなければうまくいかない。両者は連動すべきといっています。
 
冒頭にあげた 実務において帰納法的につくり上げた7アイテムは、ここにいう7Sの多くをカバーするコンセプトです。7Sについては後で知ったコンセプトでしたが、両者の幾つかが合致していたので納得できました。何かを進化させる活動の視点として7アイテムと7Sを併せて議論すると良いですね。
 
 
混沌とした時代を迎えたいま、各組織は経験を積み実務に精通しつつ理論やフレームワークを知り、どこに問題や課題があるのかを理解したうえで、効果的なマネジメントを行うことが大切だと改めて考えています(イノベーション

マキシマムの法則を再認識しよう


人は仕事を行うとき、うまくいくために最善の策を取ろうとして行動します。うまくいかなくてもよい、失敗しても仕方ないという思いを持ち行動する人はいないからです。

 

目標を決める人、指示する人、実行する人がプレイヤーだとすると、それぞれが常に最大の成果を挙げようと行動します。しかし、目標の設定における網羅性、情報収集力、指示の的確性、仕組みなどに制約があり思い通りに物事は進みません。さらに何かの行動をとるときその行動に求められるレベルが、プレイヤーの能力に比して高ければ高いほど成果が挙がる確率は下がるのは自明の理です。

 

ヒト、時間、情報、モノ、カネの制約に整理しきれるかどうかは別として、とりわけ成長のための何かを行うときには必ず多くの制約が存在しているのです。

 

必要なすべての情報が得られず、思考が中途半端だったり、十分な代替案を検討できない、また、こうなるだろう、こうなる筈だという期待が介入し目標の設定がうまくいかないことは日常茶飯事です。

 

結果として目標からプレイクダウンされるアクションプランは完全ではありません。そもそも目標の捉え方が曖昧であれば、KFS(重要成功要因)をすべて抽出できないことから、PD(成果行動)、そしてKPI (重要業績評価指標)の設定は適切ではなくなります。

 

また指示を出す人の目標理解力やコミュニケーション力が不足すれば、大きく影響を受けて達成すべき目標や行うべき行動が実行者に伝わらないという問題も生まれます。

 

さらに手を抜くことで自分のメリットを得たり、もしくは自分なりに認識した「報酬の範囲」で適当に仕事をして時間を過ごそうというプレイヤーが存在すれば、彼らも業務遂行上大きな制約になることは間違いありません。

 

いうまでもなく行動する人の能力や意欲に目標達成行動が大きく依存するためにネガティブな場合には適切な成果が挙がりづらいという結論になるのです。

 

真実として制約が全くない仕事があるとしたら、

  • その仕事を計画した組織が絶対的に優れているか、
  • 明らかに仕事が容易もしくは進歩のないルーチン業務を行っているか

のいずれだと推測できます。

 

ここで重要なことは、組織が何かを行おうとするとするときには、全て把握できないほどのさまざまな制約があることを前提に、それらの制約をできるだけ発見、クリヤーするよう行動することが必要だということです。

 

物事をいまできる最高のレベルで達成することは無理だという思いをもちつつ、できるだけ最大成果を得るための「制約排除行動」をとることが結果としてその時点でのパフォーマンスを最大化します。

 

人は常に自分にとり最大の行動をとろうとするが、そこには幾つもの制約があり、制約を解決できるところまでがマックスの成果である、という法則のなかで人は仕事をするといえます。これを我々はマキシマムの法則と呼んでいます。

 

当たり前だし分かり切ったことのようですが、いま一度ここで書かれた事実を振り返り、マキシマムの法則を意識下に置くことが大事です。

 

何かを行うときにはマキシマムの法則を念頭におき、目標立案、指示、行動における制約がどこにあるかを漏れなくダブりなく把握して行動すべきだということになります。

 

もちろん「漏れなくダブりなく」についても自分で考えた「漏れなく」も「ダブリなく」も曖昧です。「漏れなくダブりなく」完全に切り分けられる使い方をする以外には、真実からの乖離の幅は誰にもわからないため、漏れたりダブりがないことへの認識には誤謬(=誤り)があるはずです。

 

なのでやはり、成果を挙げるためには常に制約に気を配り、できていないことを探し解決し続けながら物事を進めることが唯一無比の行動だと肝に銘じなければならないのだと考えています。

 

したがって仕事に関与するすべてのプレイヤーは

  1. 目標は事業にとり適切でか、
  2. 目標は実行可能な詳細な行動に落とし込まれているか、
  3. 網羅的かつ的確に指示が出されているか、
  4. 指示を知るだけではなく理解しまた受容した結果、行動が起こされているか

といった反芻を常に行い辺りにある制約を見つけ出さなければなりません。

 

益々厳しくなる経済環境を迎え「制約をクリヤーできたところまでが成果の最大値である」というマキシマムの法則を重要な行動規範の一つとして捉え、仕事の各段階での課題を発見し、徹底的につぶしながら仕事を進めていくことが、いまさらながらに求められています。

赤身マグロが教えてくれたこと

昨日、TBSのジョブチューンという超一流職人による寿司屋チェーン2社のお寿司の評価を行う番組を観ました。2社のうちの一社U社の従業員一押し1位は一皿二貫120円の人気商品、赤身のマグロのお寿司でした。

 

U社の担当者は、お客様にとってマグロが美味しくないと他の商品がどれだけ美味しくてもご満足いただけない。旨味のある60Kg以上に限定し瞬間冷凍したマグロを購入するとともに、通常一貫10グラムのところ、正直赤字覚悟の15グラムを使い原価率80%で提供している。さらに店舗で食塩3%程度のぬるま湯でゆっくり解凍することでドリップが出にくくなる処理を行い旨味を中に閉じ込めてもいる。

 

これはお客様に喜んでもらうための、寿司屋の意地とプライドで提供する商品だ、と熱く語ります。プロの心意気をみた瞬間でした。

 

超一流職人からの赤身マグロにある筋に対する質問には、大きなものは現地の加工時にカットし、店舗では残りのものはネギトロとして処理して食べやすく繊細な処理をしていると説明を加えました。

結果、赤身マグロを口に運んだ超一流職人からは笑顔をもらい7人全員一致で合格の高評価を得られたのでした。

 

さて、「マーケティングの5P」という考え方があります。

  • Product(商製品サービス)
  • Price(価格)
  • Place(流通・店舗・エリア)
  • Promotion(販促・広告・営業)
  • Purplecow(紫の牛)

がそれらです(Purplecowの代わりにPeopleをあげることもあります)。

 

マーケティングの5Pは、マーケティングの政策を企画する際に用いられるアプローチ方法をいいます。自社の戦略を上記の5つの視点で分析し、強みやアピールポイントをマーケティング政策に活かすフレームワークの一つです。

 

このなかでPurplecow(紫の牛)は、「ワオと思われるユニークな存在」、「比較優位をもつもの」、「利益を生むもの」をいいます。紫の牛を育てて乳を搾るとともに、乳が出なくなる前に次の紫の牛を育てる手法を取れと説明されます。

 

今回のU社の赤身マグロはどうでしょうか。丁寧な商品開発を行いながらも利益はでない、寿司屋の意地とプライドで赤身マグロの提供を行っているという姿勢は地味であり、ビックリするほど目立つものではないかもしれませんが、来店客のどこかに満足を与え、U社のブランドをつくる重要なアイテムになっている可能性はあります。

 

もちろん、U社は当初からそこを狙い販促商品としての位置付けで赤身マグロを提供をしていると考えられなくもありませんが、来店客に喜んでもらうためにこの商品を提供する取組みを行なっているという強い想いがTV越しに伝わり感動したのは私だけではないと思います。

 

U社の取り組みへの感動が当然のように評価する側にも伝わったことは、全員合格の結果とともに「ドリップもなく旨味やボリュームもありとても美味しかった、500円出してもよい」という超一流職人のコメントからも汲み取れます。

 

「ワーすごい」、「なんだこれは」といった派手な紫の牛には見えないし、利益も出ない(いや大赤字!)けれども、Person(開発者、関わる人)やPurpose(会社の目的)の素晴らしさから、赤身マグロは知らず知らずのうちにU社への訴求力を高める商品の一つに仕上がり、来店客に高く評価されているのだと容易に想像できました。

 

同時にPersonやPurposeによりつくり上げられた強く顧客の気持ちをつかむ、Power grip(力強いつかみ)がそこにあるのだとも感じました。

 

なお、この番組は私にとっても他人事ではありません。U社の担当者の仕事ぶりに感銘を受けただけではなく、果たして自分はいま、顧客に喜んでもらえる「赤身マグロ」を常に提供できる仕事ができているのかどうかを反芻するとともに、自分はプロとして何をすればよいのかを考えたのです。

 

  1. 自分がやるべきことを明らかにする
  2. 意地とプライドを持つ
  3. 熱くなる
  4. 課題を次々に解決する
  5. 成果を挙げる
  6. 常に進歩し進化する

ことが必要と整理できました。

 

Purpose(事業の目的)やPerson(働く人)の成果としてのPower grip(力強いつかみ)を、自分のマーケティング政策の六番目のPとして加えようと深く心に留めたのは言うまでもありません。

 

赤身マグロが教えてくれたプロの生き方を胸に、明日からの自分づくりに取り組んでいきたいと思います。(意思決定→マーケティング

イノベーションへの身近な挑戦


主婦や高齢者など短時間で働く人の雇用が増加したものの、無駄なことをなくす取組みから、残業をしない、有休を取れる人が増え労働時間が減少した結果、時間当たりの実質賃金(ステルス賃上げ)はあがったと新聞に記事がありました。

 

ただし雇用は増加したものの、一人当たりの働く時間は減り賃金が上昇せず、トータルとして賃金の総額は増えていないとにより、就業者一人当たりの生産性の変化率はマイナスになり、労働時間当たりの生産性の変化率はプラスになったと結論づけています。

 

自動化などによる生産性の向上だけではなく、付加価値の高い商製品サービスの開発を行うことで賃金の総額を拡大し、生産と消費が増加する方向に進む必要があるとの意見です。

 

単位当たりコストの削減やコスト絶対額の削減だけではなく、削減した時間の一部を活用し、新しい価値を生む活動をしていかなければ組織や経済は活性化しないということを考えなければなりません。組織としてコストを削減し利益を生むだけではなく、投資活動やイノベーションにより付加価値を高め収益を挙げる活動が生まれなければ本当の意味での生産性向上にはならないことがよく分かります。

 

「小さい資源で同じ成果を挙げる」ことにより、一人当たりの労働時間が減り、コストは削減できますが、「同一資源で大きな成果を挙げる」という視点で、「同じ労働時間で多くのことをできるようにする」という点に注目すべきです。

 

少なくとも、働き方を変えるというながれを維持したうえで無駄な時間をなくし一人ひとりのワークライフバランスを整えて利益を出し、その利益から投資を行い、「従来よりは小さい資源で大きな成果を挙げる」という活動が必要という結論になります。

 

  1. ムダをなくす
  2. 仕組みを変える
  3. DX化を図る
  4. 個人の技術技能を高める活動を行う
  5. イノベーションを起こす

といったながれをつくるために何をするのか。1から3の取組みののち、必要とされる教育やリスキリングによる啓発を行うとともに、5についての対応を一定程度行なっていくことが有益です。

 

自組織において従来できていないことを始めたり、新規性の高い事業を始めることに注力していかなければなりません。

  1. いままでにない事業、
  2. いままでにないビジネスモデル、
  3. いままでにない利便性や価値

をどのように生み出し提供し、社会貢献できるのか、社会を変えていけるのかについて、誰かに任せるのではなく、一人ひとりが考え行動しなければならないと考えています。

 

まずは身近なところにある

  1. 不都合なこと、
  2. 不便なこと、
  3. こうなったら良いと思うもの

を日々整理し、その解決のためにどのような取組みを行えばよいのかを皆が考え続けるところから小さな一歩を始めるのがよいのかもしれません。そこからの工夫や創造の繰り返しのなかで、キラ星のようなアイデアが生み出されたり創造が行われれば、なんて素敵なんだろうといま思います。(生産性向上)

課題ファーストな生き方

あらゆることが日々進化し便利になっています。さまざまな分野で人が何かを変え続けているからです。(彼らがつくり出した負の側面を捨象するとして)国や自治体、企業や法人を活用した人、あるいは組織に組しない個人が主体的にもしくは意識せず活動するなかで日々工夫し創造しています。

 

ここで、社会の一員として実存する自分はいま何をすればよいのかを考えることは当たり前のことだと気付きます。どのような場面に身を置いたとしても、自分の触れるものを、もっと質を高め、もっと迅速に、かつより合理的に行うのかに気を配らなければならないし、また、世の中にない価値を生み出し、何かを変えていくことを考えていかなければならないのだという結論にたどりつきます。

 

社会の一員として、人として生きているかぎり本能として、日々問題点を発見し、課題化し、それらをどのように解決していくのかについて思いを寄せ、解決策を発見して行動し成果を挙げて行かなければならないのかもしれません。

 

毎日一つでも、これはこうしたほうがよい(かもしれない)、どうすれば解決可能なのか、そのためにどう行動すればよいのか、というアプローチを忘れないことが大切です。

 

そもそも人は無意識もしくは意識的に

  1. 自分は何者なのか
  2. 何をやりたいのか
  3. 何ができるのかを

について、心の声に耳をそばだてている生き物だと思います。

その答えを得るプロセスである程度の答えを得て、そのときどきの居場所をみつけながら生きています。

 

そこでは、

  1. 自分や自分の周りはどうあるべきか
  2. 何が違うのか
  3. どうすればよい方向に変えられるのか

を考え行動している筈です。

 

生活にしても仕事にしても、多かれ少なかれ人がそうした行動をとっていることを認識し、その活動をより効果的に行うことができれば、よりよい環境をつくり出せると考えています。

 

「いまあること」を改善し、また、「いまないこと」を生み出すためには、少なくとも

  1. 感性を研ぎ澄まし物事に当たる
  2. 良心に従って行動する
  3. 経験や知識を体系化し何が得意で何が不得意なのかを認識する
  4. 優先順位をつけて足りないところを補足する
  5. たどりつかなければならない目標を明確にする
  6. 常に問題を探し課題を解決する

ことが必要ですね。

 

より具体的にいえば、よく引き合いに出すASCS(アスクス)のフレームワークを使います。

  1. どこにいくのか(到達点=Attainment)
  2. 現状はどこにいるのか(現状=Staite)
  3. 到達点と現状のギャップはどのようなものか(乖離の確認=Confirmation)
  4. ギャップを埋めるためにはどのような課題があるか、課題を解決するためにはどのような解決策があるのか(解決策=Solution)
  5. どのように計画すればよいか(以下PDCA
  6. どう行動し対応していけばよいか

という流れをつくるのです。

 

 

日々、当日のミッションを確認し、試行錯誤し迷いながらも何かの学びを得た、小さなことでもよい、何かを変えられた、今日はこれを成し遂げたという達成感をえられるよう生きられれば、自分の役目を果たせるとともに成長できて素敵だなと、いまさらながらに思っています。

目標管理における1on1の具体的アプローチ


厳しい環境を迎えトップマネジメントが明確なパーパスと強いビジョンを打ち出し、何がなんでもそれを実行していく組織運営が求められています。確信をもって積極的に行動するトップマネジメントに多くの社員はついていきます。

 

リーダーとは部下から受容されてはじめてリーダーになることができます。上司だから、権限があるからといってリーダーであると思う人が多い組織は衰退します。部下の面従腹背のなかから新たな価値は生まれません。

 

上に立つ者は自分がリーダーに適しているのか適していないのか。適していないと擦れば何を変えていけば真のリーダーになれるのかについて 心底から反芻してみる必要がありそうです。

 

組織を変革するためには目標管理を行うことが有効です。目標管理制度におけるリーダーとしての上司の役割、部下の姿勢について検討します。

 

ある組織で行ったレクチャーで利用した資料です。

 

目標管理制度が個人レベルに落とし込まれて運用されています。個人目標のチェックも〇月までに完了するとの営業部長からのご説明がありました。そのなかで営業部長からは、個人面接をする課長が「部下に対し、どのように面接をすればよいのかが理解できていない」、「部下もどのように面接を捉えていけばよいのかについて認識できていない」との指摘がありました。

 

以下、1on1における上司の対応や部下の在り方について説明をします。

 

1on1(個人面談)=個人目標が達成されているかどうかをチェックするための個人面接は、個人面接そのものの技術について良し悪しを検討するのではなく、目標管理におけるプロセスとして捉えていく必要があります。

 

個人面接の技術といった表層的な議論ではなく、目標管理を上司がどのように捉えるのか、また部下がどのように対応するのかといった議論が行われなければなりません。上司と部下にそうした思考があり、その経過として1on1があるという捉え方をしなければなりません。

 

目標管理制度は、目標を達成するためのマネジメント手法であるとともに、部下を育成する行為そのものでもあります。部下を一定の方向に振り向け、指導し、そして成果をあげるというプロセス自体が、部下育成のプロセスそのものであるからです。

  1. 上司は部下をどのように育成するのか
  2. 部下は上司からどのように育成されたいのか

について熟考し、それぞれの立場から目標管理を捉えていかなければなりません。

 

上司は部下をどのように育成するのか、についてです。上司が部下を育成するための一つの道具として目標管理を使うという視点を持つ必要があります。そもそも、目標設定時点で、個人の属性を確認したりや課題を想起することが規定されていました。

 

すなわち、目標により何を達成するのかについてよく吟味し、また個人をよく見極めたうえで、個人の育成に貢献する、あるいは個人が力を発揮できる目標を設定するなど、目標管理制度は目標達成と個人の育成を同時に達成しようというながれをもっていたことを思い出さなければなりません。

そうであれば上司は目標管理がスタートしたのち、個人別に以下について確認し行動することが適当です。

 

  • 個人は、設定された目標達成に取り組んでいるか

一つ一つの個人目標に網羅的に取り組んでいるのかを、あらゆる方法により評価し、取り組みの程度を確認しておかなければなりません。

 

  • 取り組みは適切に行われているか

目標への取り組みは決められた通り、またはその都度考慮された方法により行われているかどうかをチェックします。具体的には、日々の業務を観察したり、本人に確認して個人の行動をチェックすることになります。

 

  • 支援が適切であるのか

本人の意欲を喚起することで解決することが可能であるのかどうかを確認する必要があります。

 

本人の意欲(取り組みの姿勢)が欠如しているときには、意欲が欠如している理由の明確化、解決策の検討、解決策の実施を行わなければなりません。本人の意欲はあるが、方法論で壁にぶつかっているときには、支援が行われる必要があります。

 

  • どのような支援が必要か

支援が必要なことが明らかになったのち、どのような支援が必要であるのかを考えます。

 ⅰ)当初決めていた同じ目標を設定した他の同僚との連携

 ⅱ)別途当該目標達成に対して技術をもっている先輩への支援依頼

 ⅲ)上司(自分)による何らかの具体的な行動レベルの支援実施

  a)適時のアドバイスを心がける

  b)代替的手法の提示

 aとbを繰り返しながら対応します。

 

  • 当初想定した、個人育成の観点で成果があがっているか

職務基準と擦り合わせ若しくは上司の思いからこのような能力を身に付けてほしい、こうした成果を上げて欲しいという思いで目標を設定しているとき、その通りの結果となっているのかどうかについて確認する必要があります。個人が育成されているのかどうかを確認するためには、当初想定した能力や成果があがっているのかを総合的に評価することになります。例を示すと、

  1. この資料作成という目標を通じて、○○の知識や技術を身に付けてほしい
  2. このとりまとめを通じて、他部署との調整を図ることで、コミュニケーション能力を高めて欲しい
  3. この作業を通じて、人を束ねることができるよう指導力を身につけてほしい

といったことがそれですが、これらを達成するためには、個人が生き方を変えたり、仕事に対する取り組み姿勢そのものを変えたり、日常的に勉強したり、他人のことを思いやれるようになったり、といったさまざまな変化が起こってくることが想定されます。

 

なお、部下がまったく成長せずとも成果が挙がってしまうということがあります。その場合には、元に戻り追加的に別の課題を設定して、当初の考え方を徹底していくことが必要です。すなわち上司がこれをして欲しい、これを変えてほしいという部分について成果があがるよう最後まで部下を育成し続けるということがポイントになります。

 

勿論、目標管理制度だけで組織が動いているのではないため、目標管理において設定した教育の到達点は、目標管理だけによって達成するのではないことは明らかです。あらゆる機会を通じて本人の育成を行うという姿勢や方針を常に持ち続け、併せて教育し続けていくことが期待されます。

 

「この人にはこうあって欲しい」と営業部長が話されていましたが、まさにこうなってもらいたいということも含め、部下への意識を振り向けていかなければなりません。

  

日常から、こうしたことに対し強い思いをもっているのかどうかについて自己確認をしてみる必要があり、面接はそのプロセスを確認するためにも行われるということが理解されなければなりません。

 

そのように考えれば面接はそれほど困難なものではなく、逆に面接というよりも、日常のなかで、上記について上司がその実効性を確認し、常に指示を出したり、指導をしたりしなければならないと考えることが相当です。

 

部下は上司からどのように育成されたいのか(どのように成長していきたいのか)部下自身の能動的な姿勢がなければ、上司のいかなる対応も成果をあげることができません。上司が上記により能動的な姿勢をもてるよう働きかけるとともに、部下がそうなるよう別途意識づけをしていく必要があります。

 

上司が部下を育てたい、育ってほしいという思いをもち、具体的に行動していくことが前提にはなりますが、別途集合教育においても、能動的な意識を喚起するための仕掛けが必要です。

 

部下は、一般的に以下の思いをもち行動していると考えられます。

  1. どのようなプロフェッションになりたいのかについての思い
  2. どんな仕事がしたいのか、どんな仕事がしたくないのかということについての明確又は漠然とした希望
  3. 何が(誰が)好きで何が(誰が)嫌いであるのかの明確又は漠然とした気持ち

これらの気持ちを引き上げ、あるいは確認し、あるべき方向に誘導することが上司の役割であり機能です。

 

どのようなプロフェッションになりたいのかについての思いについていえば、各職場において上司が、プロフェッションとしてのモデルを示していく必要があります。そのためには、上司自らが果たすべき職務を果たさなければなりません。目標管理についていえば、

  • 組織の現状、組織は何を目指しているのか、
  • どのようなことができていないのか、
  • プロフェッションとしていま何をしなければならないのか、
  • それは個人にとってどのようなものであるのか、
  • それを行うことにより個人はどのように成長できるのか

といったことについて日常から部下に語りかけていなければなりません。

 

そうした上司の行動により部下は、職業感を身に着け、上司をモデルとして認識し、自分と実在する上司を重ね合わせながら不足するところを確認できるようになります。上司が魅力的であればあるほど、自分のモデルは輪郭を明らかにして、「この人のようになりたい」という明確な到達点をもつことができるようになるのです。

 

どんな仕事がしたいのか、どんな仕事がしたくないのかということについての明確又は漠然とした希望についていえば、上記ができあがっていくことがなくても、プロフェッションとして成果をあげていくためには何をすればよいのかを理解してもらう努力をすることが必要です。

 

自分が持っている明確又は漠然とした希望は、それが正しいかどうかの検証をしていなければ意味がないことになります。否定するのではなく、何をしたいのか、どのようなことについて興味をもっているのかについて常に聴取するともに、これがあなたには向いているし、あっている。これをすることにより、よりあなたのやりたい仕事に近づける、近づくことができるという話をすることで、いまやらなければならないことの意味を意識してもらうことが必要です。

 

その場合には、押しつけではなく、個人がやりたいことが、何をすればどのように達成されていくのか、そのためには何をしていけばステップが踏めるのか、といったことについて上司は判断していく必要があります。

 

また、したくないという仕事があるとしても、それはそうではなくて、意味がある、あるいはしたい仕事とこのようにリンクしていて、それができなければ、したい仕事もできないといった説明をして納得してもらうことや、したくない仕事について十分に議論し、したくない仕事からしたい仕事に転換していけるよう支援していくことも必要です。

 

本人の希望を聴取するとともに、組織や部署の目標、そして個人の目標がそれらとどのようにつながっているのか、また個人目標を達成することが、それらにどのように近づいていけるのかを納得してもらえるようサポートしていくことが期待されます。

 

なお、多くの社員に散見される事象ですが、好き嫌いで仕事が上手く進まないことがあります。

 

何が(誰が)き好で何が(誰が)嫌いであるのかの明確又は漠然とした気持ちについては、目標管理を通じて、個人の思いではなく、仕事として組織的に動くことが個人の目標を達成するために最も重要であることを伝えていく必要があります。好きな仕事や好きな人は別として、ネガティブな気持ちになりやすい、嫌いな仕事や嫌いな人との接点をどのようにつくり、それをそうではない方向に振り向けていくことも上司の役割です。

 

チャンスを提供し、実はそうした思いは誤解であったという意識をもってもらうことや、仮にそれが解決できないとしても、社会人として感情に左右された仕事をしてはいけない、すべて事実としてとらえたとしても、例え嫌いな仕事であっても、成果をあげるまで行わなければならないし、嫌いな人であっても組織として動き、成果をあげていかなければならないことを説明していくことも必要であると考えます。もちろん最終的には嫌いな理由や原因を突き詰め、その思いを修正することが大事ですね。

 

仕事を通じて、こんなプロフェッションになりたいという思いをもてるよう日頃から誘導していくことと、本人がそうした思いをもてるよう1on1を活用します。

 

1on1の巧拙は、上司の面談スキルではなく、組織の勢いや上司の仕事に対する取組み姿勢、そしてリーダーシップにあることは明らかです。別途トップマネジメントのマネジメントのあり方の見直しや、集合教育等により優れた上司の育成を行っていく必要もありそうですね。(HRM)

期日を守るということ


日常の仕事のなかで何かを行うときに、必ず条件となるのが期日です。

 

期日のない仕事は仕事ではありません。仕事であるためには、目的があり目標があり、そしてそのための手段があり手続きがあり、誰かが責任者や担当となってそれを決まった時間や日、月までには終わらせる、ということが一般的です。
 
関係する多くの人がそれを期待し、その結果をもって次の仕事が始まる、あるいはそれを前提として一連の仕事が成立するといったことが通常ですね。
 
したがって、仕事のなかで、誰かが仕事の質を落としたり期日を遵守しなければ、一定の業務フローのなかで仕事がすべて止まるということにもつながりかねません。適切な期日を決めたうえで設定された仕事の質と期日はどのようなことがあっても守る必要があります。当事者間で決めた期日は必ず遵守するし、守れない期日は決めないという帰結です。

 

超短期の仕事であればその場で完結しなければなりませんし、また短期の仕事であっても一定の期日に成果を挙げなければなりません。中期の計画も着実に行動し期日迄に実行すること、大切ですね。
 
時間外勤務をしようと徹夜をしようと、そして人の手を借りようと、誰かに助けてもらおうと仕事を期日までに終わらせなければなりません。
 
もちろん優れたやり方はタイムマネジメントを行い就業時間内に全てを終わらせることです。

  1. 優先順位付けを怠らない
  2. 段取りをとる
  3. 業務改善を定着させる
  4. システム化を行う
  5. 処理能力を強化する
  6. 他者との良好な関係性を確立する

ことなどタイムマネジメントにおいて行うべきことは、いくつもあります。

 

より重要な仕事から手を付け、計画的に工夫をしながら、できるだけ合理的に処理するための方法を考え、自分の能力を高め続けます。さらに他者の協力を得られる、邪魔をされない人間関係をつくるために日頃から相手に役に立てるよう行動しなければなりません。

 
何れにしても、予定された質を担保しつつ期日を守ることが仕事において最も大切な事柄であることを忘れてはなりません。期日を守る文化がない人や組織はどこかで弛緩し質も落とし、すべての対象から信頼を失い顧客をなくし組織を衰退させます。
 
5分、10分で終わらせなければならない仕事であっても、現場には期限を1分でも遅れることが許されない仕事があります。リーダー、社員は時間を守る、時間内で作業を終ることができるスキルや前提となる仕組みをもった組織づくりのために心血を注ぐ必要があります。

 

当たり前のことですが、再度見直しをしてみるテーマですね。(タイムマネジメント